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医療機器のクラス分類完全ガイド:自社製品のクラスを判定する方法

医療機器のクラス分類完全ガイド:自社製品のクラスを判定する方法

「開発中の製品の、クラス分類は何になるんだろう?」
「医療機器のクラス分類は、どうやって決まるの?」
――新人〜中堅の薬事担当者なら、一度は感じる悩みかもしれません。

医療機器のクラス分類は、薬事業務の出発点です。
ここを正確に押さえないと、申請ルートや必要な許可などの判断がブレてしまいます。

本記事では、クラス分類のルールから、判断方法まで、現場目線で網羅的に整理しました。

押さえるべきは、以下の3つの観点です。

  • クラスI〜IVの違い(リスクの段階)
  • クラス分類ルール
  • 自社製品の判定方法(実務的アプローチ)

この3つを理解すれば、自社製品のクラス分類について、根拠を持って説明できるようになります。

目次

1. 医療機器のクラス分類とは?リスクに応じた4区分

1-1. クラス分類の目的と背景

医療機器では、不具合があった場合に人体に与える影響の大きさが、製品によって大きく異なります。

たとえば、絆創膏と心臓に植え込むペースメーカーでは、求められる品質や性能、安全性の厳格さが異なります。

そこで薬機法では、医療機器をリスクの大きさに応じて4つのクラス(I〜IV)に分類し、それぞれに必要な許可・申請ルートを規定しています。

クラス分類の主な目的:

  • 申請ルート(届出・認証・承認)を明確化する
  • 規制リソースを効率的に配分する

2. クラスI〜IVの違いと特徴

クラスI〜IVのサマリー

2-1. クラスI(一般医療機器)

リスクが極小の医療機器です。

  • 不具合が生じても、人体への影響が「ほとんどない」とされる製品
  • 主に補助的・物理的な機能を持つ
  • 申請手続き:届出(PMDAへ届出書を提出)
  • 業許可:第三種医療機器製造販売業以上

代表例:X線フィルム、メス(柄)、ガーゼ、絆創膏 など

2-2. クラスII(管理医療機器)

リスクが小〜中程度の医療機器です。

  • 不具合があれば人体に影響を与える可能性があるが、生命に重大な影響を及ぼすほどではない
  • 多くの診断機器・検査機器が該当
  • 申請手続き:第三者認証(一部承認)
  • 業許可:第二種医療機器製造販売業以上

代表例:MRI装置、電子血圧計、超音波診断装置、補聴器 など

2-3. クラスIII・IV(高度管理医療機器)

リスクが中〜高程度の医療機器で、生命に重大な影響を及ぼすおそれがあるものです。

  • 治療系機器・植込み型機器・生命維持装置などが多い
  • 申請手続き:PMDA承認(クラスIIIの一部は認証)
  • 業許可:第一種医療機器製造販売業

クラスIIIの代表例:透析器、人工呼吸器、コンタクトレンズ

クラスIVの代表例:ペースメーカー、冠動脈ステント、人工心臓弁

3. 医療機器のクラス分類はどう決まるか(薬食発0510第8号)

医療機器のクラス分類は、平成25年5月10日付 薬食発0510第8号通知に基づくルールで決められています。実務では、製品が該当する「一般的名称(JMDN)」を特定することで、対応するクラス(I〜IV)が確認できる仕組みです。

本章ではクラス分類の根拠となるルールと、実務で参照する一般的名称(JMDN)の体系を整理します。実際の判定手順は後述する第5章で詳しく解説します。

3-1. クラス分類ルール

クラス分類ルールは、以下の通知で明確に定められています。

【必読の公式通知】
平成25年5月10日 薬食発0510第8号
「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係るクラス分類ルールの改正について」
PDF: https://www.pmda.go.jp/files/000242914.pdf

なお、これは平成16年7月20日付 薬食発第0720022号(原通知)の別紙1を改正するもので、現在運用されているのは「薬食発0510第8号」改正後の内容です。

別紙1のクラス分類ルールは、医療機器の特性に応じて以下のように整理されています。

  • 非侵襲型機器:体内に侵入しない機器の分類
  • 侵襲型機器:体内に侵入する機器の分類(外科的・人体開口部)
  • 能動型機器:電源等のエネルギーで作動する機器の分類
  • 追加ルール:医薬品含有・動物由来・滅菌器具など特殊なケース
  • 分析機器:分析機器の分類
クラス分類ルールの全体像

クラス判定は、製品の使用目的・侵襲性・使用期間・接触部位・エネルギー源などの要素を総合的に踏まえて行います。

3-2. クラス分類は一般的名称(JMDN)ごとに決まる

医療機器の「一般的名称」とは、機能や使用目的が同じ医療機器をひとつのグループとしてまとめ、そのグループに付けられた共通の名称のことです。

薬機法に基づいて厚生労働省が定めています。

例えば「自動電子血圧計」「汎用人工呼吸器」「中心静脈用カテーテル」のように、製品ブランド名ではなく機器のカテゴリーを示す名称です。

各一般的名称には、以下の情報が紐づいています。

  • 定義(用途・原理・対象部位など)
  • クラス分類(I〜IV)
  • 特定保守管理医療機器・設置管理医療機器などの該当性
  • 認証基準の有無

クラス分類ルールは、「一般的名称(JMDN)」ごとに定められています。

したがって、例えば「自動電子血圧計」について、クラスIIの製品、クラスIIIの製品が存在するということはありません。

4. クラス分類別の規制要件の違い:業許可・申請ルート

クラス分類によって、必要な規制対応は大きく異なります。

4-1. 必要な製造販売業許可

業許可種別取扱可能なクラス
第一種医療機器製造販売業クラスI〜IV すべて
第二種医療機器製造販売業クラスI・II まで
第三種医療機器製造販売業クラスIのみ

4-2. 申請ルート(届出・認証・承認)

クラス申請ルート
クラスI届出(PMDAへ提出)
クラスII第三者認証かPMDA承認
クラスIII・IVPMDA承認

※ クラスIIIの一部品目は、認証基準に適合する場合に限り認証機関による審査となるケースがあります。

5. 自社製品のクラスを判定する4つのステップ

自社製品のクラス判定フロー(4ステップ)

5-1. STEP 1:使用目的・構造を整理する

最初に、製品について以下の点を確認します。

  • 何のために、誰が、どの環境で使う製品か(使用目的)
  • 能動型/非能動型の区別
  • 人体への接触の有無と接触期間(一時的・短期・長期)
  • 対象部位(中枢神経系・循環器系など)
  • 滅菌の要否、医薬品含有の有無

同じハードウェアでも、使用目的が変われば該当する一般的名称が変わり、クラスも変わる場合があります。

5-2. STEP 2:類似の医療機器を探す

近い用途の既存の医療機器との比較は、判定の確度を高める有効な手段です。

インターネット検索で類似機器を検索するほか、PMDAの「医療機器情報検索」データベースで、自社製品の機能・用途に近い医療機器を検索することができます。

リンク:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch/

PMDA医療機器情報検索画面のスクリーンショット

この検索から、類似医療機器の添付文書を確認することができます。

※ただし、すべての添付文書が登録されているわけではないため、見つからない場合には、インターネット検索も併用すると効率的です。

5-3. STEP 3:類似の医療機器のクラス分類を確認する

STEP2で検索した添付文書冒頭の「承認番号」「一般的名称」を確認します。

類似機器の一般的名称が分かったら、PMDAの「一般的名称検索」から、クラス分類を確認することができます。

リンク:https://www.std.pmda.go.jp/stdDB/index_jmdn.html

例えば、自動電子血圧計のクラス分類ルールを確認したい場合には、名称に「自動電子血圧計」と入力して検索します。

PMDA一般的名称検索:自動電子血圧計を入力した画面

検索すると、「自動電子血圧計」の定義やクラス分類、クラス分類ルールが確認できます。

クラス分類ルールは、GHTFルールと記載されます。

自動電子血圧計のクラス分類検索結果:クラスII、GHTFルール10-③

例えば、自動電子血圧計の場合には、ルール10-③となっています。

ルール10-③は、クラス分類の通知(薬食発0510第8号)では、以下のとおり定義されています。

薬食発0510第8号 別紙1 ルール10の規定本文
薬食発0510第8号 ルール10-③ の定義

5-4. STEP 4:製品のクラス分類ルールを判断する

STEP 3で調べた類似医療機器のクラス分類ルールを確認し、自社製品が合致しているかを確認します。

この時に、自社製品との違いから新たなリスクが生じないかを確認することが重要です。合致しない場合には、別の製品を探す、またはクラス分類ルールで近い分類を探します。

6. 医療機器のクラス分類でよくある質問

6-1. 海外のクラス分類と日本のクラス分類は同じ?

日本のクラス分類は、医療機器規制国際整合化会議(GHTF: Global Harmonization Task Force)が示したクラス分類ルールを基本に整備されています。

国際整合があるため、日本のクラス分類は欧州(EU MDR)や米国(FDA)の分類と概念的に対応しています。

ただし、各国で具体的なクラス分けが完全一致するわけではない点に注意が必要です。

同じ製品でも、日本でクラスII、米国でClass IIIというケースもあります。

6-2. 複数の一般的名称に該当する場合、クラス分類はどうなるの?

複数の一般的名称を含む品目の場合には、最も高いクラス分類を記載して申請します。

以下の通知の、「11 備考欄」の「(1)クラス分類通知によるクラス分類を記載すること。複数の一般的名称を含む品目の場合、最も高いクラス分類を記載する。」と記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/261120kiki112001.pdf

6-3. 該当する一般的名称がない場合には、どうしたらいい?

新規性が高い製品で、既存の一般的名称に当てはまらない場合は、厚生労働省に一般的名称を新設してもらいます。

該当する一般的名称がない場合には、申請時に他の一般的名称に該当しない理由や、一般的名称の新設案を記載した書類を提出します。
https://www.pmda.go.jp/files/000160886.pdf

該当する一般的名称がないかの判断が難しい場合には、開発初期から PMDAの全般相談を活用し、想定されるクラス分類・一般的名称について確認することもできます。
PMDA事前相談リンク:https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/consultations/0016.html

特に有効なケース:

  • 新測定原理を用いた機器
  • 既存品目に該当しない機器
  • 複数の用途を持つ機器
  • ハイブリッド機器(医薬品+医療機器)

迷う段階で早めにPMDA相談を活用することも効果的です。

ただし、クラス分類や一般的名称は、最終的には審査の過程で確定されるため、明確な回答が得られないこともあります。

まとめ:医療機器のクラス分類を3つの観点で整理

医療機器のクラス分類を、3つの観点でまとめました。

観点内容
① クラスI〜IVの違いリスクの大きさで4区分。
クラスIは届出、クラスIIは認証又は承認、クラスIII・IVは承認が基本。
② 分類ルール薬食発0510第8号で規定。
侵襲性・使用期間・接触部位・能動性などで判定する。
③ 自社製品のクラス分類の確認PMDA名称検索で類似機器の一般的名称を調べ、クラス分類ルールを確認する。
新規性が高い場合はPMDAに相談。

製品のクラス分類で迷ったら、この手順で進めてみてください。

参考法令・資料

  • 平成25年5月10日 薬食発0510第8号「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係るクラス分類ルールの改正について」

https://www.pmda.go.jp/files/000242914.pdf

  • 平成16年7月20日 薬食発第0720022号(原通知)
  • 薬機法 第2条 第5〜7項
  • 厚生労働省告示 第298号
  • PMDA「医療機器情報検索」データベース

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch/

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この記事を書いた人

国内製薬メーカーで研究職として勤務した後、国内医療機器メーカーに転職し、10年以上にわたって医療機器の薬事業務を担当。
クラスIIから高度管理医療機器(クラスIII・IV)まで幅広い製品の承認申請等を経験。
本サイトでは、現場で培った実務経験をもとに、新人〜中堅の薬事担当者向けに発信しています。

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